生きてていいよ、たぶん

誰かのために生きたい

愚痴

心から愛していた音楽家が居た。

彼の作る作品は、少なくとも僕にとっては、よかった。よかったのだ。

終わりのないものは存在しない、誰もが分かっている事だが誰もが受け入れがたい世の理だ。

直に彼は僕の見えるところからは居なくなってしまった。悲しく寂しい別れだった。

恋人を失うような痛みだった。

 

終わるものが嫌いでしょうがない。

果てる、死ぬ、今生の別れ。終わるからこそ美しいなんて言葉を信用しない。終わらないものを見たことがないから、そう言った怠惰な想いが現れる。終わりに「だからこそ」はない。

終わりは終わり。何も生まず、風が吹き抜けて温度を奪ったのみだ。

終わるな。

負けるな。

許さない、勝手に終わるなんて、終わらせられるなんて。許さない、それを許す誰も彼も。

 

だから、終わらない言葉が欲しい。

 

続き続ける、飛び続ける想いが欲しい。

 

聴きたいと願う者の鼓膜に響き続ける音が欲しい。

 

太陽が怖い君のための明けない夜が欲しい。

夜明け前が一番暗いなんて言う奴を殴り続ける度胸が欲しい。

 

死ぬまでずっとなくならない愛が欲しい。

死ぬまでずっとなくならない愛を渡したい。

叶わない、続かない、いつか冷めるかもしれない想いといつか醒めるかもしれない夢を、全ての人間が描き続けてほしい。