また誘うから
時々、自殺しちゃった人のことを考える。
汗ばむ夏が終わると、そういう死の匂いが充満してくる。その気配を感じてる。
ぼくたちにわかり得ないくらい痛くて苦しかったから、掴んでた手すりを離したんだろうなって思う。越えちゃいけない線を越えたんだろうなって思う。
生まれてきた時から持ってるものを手放すのが辛くないわけないよな。それよりも辛いことがあったんだよな。
わかるわけのないことを考えてわかった気になる。
毎年、夏休みがあけると死にたくなっちゃう人がたくさんいるんだってね。
わかりたいんだけど、あまりにも遠い。
君の暮らしはどうですか。
夏の日照りは体の外側を焼いてくれるけど、奥の奥には火を焚べてくれませんね。
ぼくの心象はまるで伽藍堂ですが、君の具合はどうですか。
生きやすいですか、生き難いですか。
布団にくるまって頭を抱えるくらい辛いことがあったんですか。
突然ダムが決壊したみたいに涙が出ることがあったんですか。
青黒い想いが君の胸を締め付けてるなら、どうにかこうにか解いてやりたいけど、そんなこと厚かましいよな。
誰かの優しさが時折猛毒になって、体を這い回って、四肢を痺れさせることもある。
言葉って難しいな。
心はもっと難しい。
次の休みには美味しいもの食べに行こう。食欲ないなら映画でも観に行こう。興味がないなら家でゆっくり本でも読もう。
テレビでもいいしゲームでもいいし、やりたいことをやろう。音楽を聴くのも良い。
そうやって楽しいことをやろう、日が暮れても遊ぼうよ。できればぼくも誘ってほしいと思ってるんだけど。
瞼が重くなってきたなら涼しい部屋で眠ってしまおう。ぼくも家に帰るってそうするよ。
泣きたくなったら、泣いたらいい。
みんな誘って泣いたらいいんだ。
泣いてるやつにかけるられる毛布なんか、誰も持ってないんだから。みんなで泣こう。
ぼくら結局わかりあえなかったって言って声を上げて泣こう。
ぼくたちの涙が空に上がって雲になる。雨が降れば地表を濡らして、焦がれる夏も少しは冷めるよ。
ぼくたちは助け合えるわけないけど、でも手を伸ばことは絶対にやめたくないって思う。
死なないでほしい。誰も死なないでくれ。
せめて次のスマブラが出るまでは。今度は全キャラ出るらしいよ。
せめてスターウォーズが完結するまでは。実はあんまり好きじゃないけど。
せめてこの時代が終わるまでは。新しい世界でも一緒に遊ぼうよ。
また誘うから。