輪郭線が、空気に溶融していく。
私が抽象になっていく。
ある八月。
夢際に立つあなたの温い右手。
妄言の果てにできた暗い希望。
私はいない、どこにもいない、あなたとあなた以外のどこにも。
私はいない。それが眩しい。あなたの未来が光るから。
柔い視線が、私の心を崩すから。
あなたの、その愛が嫌い。
私はいない、どこにもいない、あなたとあなた以外のどこにも。
私はいない、なにも怖くない。
私はいない、どこにもいない、あなたとあなた以外のどこにも。
私はいない。それだけが救い。あなたの未来が光るから。