生きてていいよ、たぶん

誰かのために生きたい

2019-01-01から1年間の記事一覧

ゆうれい

輪郭線が、空気に溶融していく。 私が抽象になっていく。 ある八月。 夢際に立つあなたの温い右手。 妄言の果てにできた暗い希望。 私はいない、どこにもいない、あなたとあなた以外のどこにも。 私はいない。それが眩しい。あなたの未来が光るから。 柔い視…

終わり、おわりおわり、おわった!ついに僕は言葉によって想いを交わすことが不可能になった! 誰にもなれなかったおわったことばまあ」まも

私戦7

思想家達はみんなとおい国へ行ってしまった。 もう二度とこの国へは帰ってこないらしい。もう二度と会えないらしい。 寂しくもなれない、出会ってすらいない君たちと交わした言葉だけがリフレインしている。 骨になって、灰になって、墓碑の周りにたくさんの…

私戦6

年を明けてからというもの、僕には生きたものがもはやどこにもいないように感じていた。いのちが群生するであろう都市へ迎えども人などおらず、核戦争後の近未来に1人取り残されたような錯覚をおぼえる。 草花の萌えぬ薄灰色の地平をただ独り歩いていた。多…