生きてていいよ、たぶん
今日は朝早くから蝉がうるさくて目がさめた。もしかしたらタイマーの切れた冷房のせいかもしれないけれど、不快な目覚めだった。
とんでもない日照りと暑さで、舞台照明に初めて当てられた日を思い出した。
その時の季節は秋、ほんの少しだけ生きた実感がしたけど、人前に立つのがやっぱり苦手で、死ぬかと思った。焦って滑舌悪くなったし、足はいつもの倍重かった。
本気で取り組んだことなんて、後にも先にも高校時代のそれくらいなのかもな、と思う。演劇部の同期や先輩や後輩と、本気で勝ちたかった。ほんとに、本気。
でも思い返すとやっぱり穴だらけで、あぁぼくの人生だなってほんの少しだけ安心するけど、やっぱりそういう性格って直すべきだよな。
降りた幕はもう上がらないんだ。
再演したって、あの時の生の寒気は帰ってこないもんな。
これでいいんだ、よくないけど。
染み付いたものがなかなか拭えなくてこんなところまで来てしまいました。
人を傷つけるのが得意になってしまいました。でも同じくらい人を好きになろうって頑張ってるつもりなんです。
嫌われたくないから嫌いにならないでいたいのに人を簡単に嫌いになってしまいます。
そんな感覚の過敏さを得たくて文学とか芸術とかにのめり込んだ訳じゃないのに。
そもそものめり込めてすらいなかったのかもしれないけれど。
たぶん、岡村靖幸みたいな男がぼくの前に現れて、あんなかっこいい歌歌ったら、多分ぶん殴っちゃうと思う。
みんなが楽しく笑ってる中、独りだって思ってしまう。ここにいなければいいのにとか思ってしまう。
そんな生き方しかできないけど、いいんだ、多分。
いいのかな?
汗を拭いながらそんなことを考えてた。近所のスーパーの駐輪場で。
ぼくは多分、肯定されたくて仕方ないんだろうなって思う。昔からずっとそうだな。
手放しに人を受け入れる、なんて絶対あり得ちゃダメなんだけど、ぼくはそれを甘受したくて仕方ないんだ。
だから、いや、だからじゃないけれど、ぼくはだれかを手放しに許したい。
許したいんだよな、自分の不在を願うような人を。
好きも嫌いもあっていいけど、得手も不得手もあっていいけど、みんな許し合えたらなって思う。
叶わない願いなのはわかってるから、せめて、ぼくはそんな空間を作りたい。
もう誰も自分を殺さなくていい、って大きい声で言いたい。言わなきゃならない。ぼくが今したいと思うこと。
口が滑って、罵倒してもいい。手が滑って、はっ倒してもいい。
でも自分で自分を殺すのは、絶対嫌だから、っていう、そういうことを言いたい。
争ってもいいから、もう誰も、自分をへし折らないでほしい。
そんなことが言いたい。
そんなことを伝えたいと思う。
そんなことを形にしていきたくなった。